住宅のクレーム その2

仕上げの一業者として工事に伺った際などに、[[]]
クレームのお話でお客さんからよく聞くフレーズがあります。
「プロに頼んだのだからもっと綺麗に仕上がると思っていた。」
「プロなら事前にわかっているはずなのに言ってもらっていない。」
「普通はこうなるんじゃないの?なんでこうならないの?」
といったお言葉です。

中にはもっともなお言葉もたくさんあります。
しかしその多くは事前に何らかの行き違いがあるといっても過言ではありません。

前回
にお話した実務営業マンの他にも、
住宅の工事には現場監督や職人が数多く出入りします。

施主さんは実務営業マンとはお話にならなくなっいてたとしたら
次は現場監督に、現場監督も話しにならないなら職人に、
職人も話にならなければ怒りの頂点に達するといった具合になることが多いようです。

最初に書いたフレーズはだいたい怒りが頂点に達した後に、
仕上げの手直しに伺ったときに施主さんからよく聞くお言葉です。
愚痴というか、八つ当たりというか、諦め半分の捨て身というか(汗)

そして多くの場合は、施主さんの知識不足に対して工事業者から
良いことばかりを聞いてきた結果なのです。
その誤解を解かないまま、建物が建ってしまってた後でそのフレーズが出てきます。


私が、これまでに受けてきたもので、比較的理不尽と思うクレームは、以下のとおりです。

【クロス(壁紙)編】
・仕上げ面を手で撫でていって、手で感じられる凹凸が気に入らない
・継ぎ目の存在自体が気に入らない
・ボンドコークを打ってること自体が気に入らない(最初から下地に隙間があること自体おかしい)
・ボンドコークを打ってない事自体が気に入らない(綺麗にカットしていても捲れ防止すべき)
・光が差し込むところの僅かな影が気に入らない
・補修自体が気に入らないため全面貼替えの要求

【床材編】
・仕上げ面を手で撫でていって手で感じられる凹凸が気に入らない
・継ぎ目の存在自体が気に入らない
・床が多少たわむのが気に入らない
・タイル物の多少の色のバラつきが気に入らない(天然素材でも関係ない)

これらのクレームは意外なほど多く聞きます。
ほとんどは製法上、仕方のないものが多いのですが、
施主さんはいたって真面目に最初に挙げたフレーズを連呼されるのです。

もちろん思い違いや各施主さんの「当たり前」が一般的な「当たり前」と違う場合もありますが、
だいたいが建設業者と施主さんのコミュニケーション障害に因るところが大きいのです。
そしてほとんどの建設業者は仕上げ業者に責任をなすりつけ、工事をやり替えさせます。
そして仕上げ業者は建設業者からその工事代金をもらえないケースがほとんどなのです。

これがリフォームになるとさらに問題が頻発します。
新築より金額も打ち合わせ時間も少なく、工事自体が既存建物の状態に因りますから尚更です。
そして仕上げの良し悪しというのは著しく住宅の機能を害するものではありません。
なのであまりにも要求が過度になると建設(リフォーム)業者の方が施主さんを訴えるケースまで出てきます。
お金を払う側とはいえ要求できる範疇を越えてしまってはダメなのです。


皆様には「まさかそんな大袈裟な」と思う方も多いと思いますが、
意外にもこのようなことが多く起こってるのが事実なのです。

「イメージとしての工業製品的なクオリティーを求めがちなところ」
「黙っていても思い通りの物が出来上がるという考え」
「間違った思い込みによる間違った要求」
恐らくそういったものが根底にあると思います。
<施主さんの一生に一度の高価なもの>という考えと、
<建設業者のそれなりの価格のもの>という考えにも差があるのです。
施主さんが「何故言ってくれなかった」は、
建設業者にとって「言ってくれたらそれなりのものを勧めたのに」になるのです。

後から「こう思ってたのに」は厳禁です。
口頭で伝えたと思っていても伝わってなかったり、ニュアンスが違うことがとても多いです。
それを防ぐ手立てとしては工事に入る前までに、
こうなって欲しいことやこうなっては嫌なことを具体的に写真にして伝えておくことをオススメします。
現物の写真がなければ、ネットに出回ってる写真でも良いです。
打ち合わせに入る際にそういうものを提示しておくと後々の打ち合わせがスムーズにいくだけでなく、
施主さんと建設業者との価値観やコストのすり合わせが事前に可能になるからです。


今回は比較的施主さん寄りの問題点を書きました、
次回
は業者側の問題点を探っていきたいと思います。