建築耐震の真実 その3
『関西淡路大震災』の時に
「立派な公共の建物は倒壊したのにハウスメーカーの建物は倒壊しなかった」
とか
「在来工法の建物は倒壊するがハウスメーカーの建物は大丈夫」
なんて話をよく耳にしました。
しかしこれはハウスメーカーだから倒壊しなかった訳ではありません。
それは前回書いたように建築年数に因るところがあるのです。
単純に、当時ハウスメーカーの建物は比較的の新しかったからなのです。
もう一つ大きく差が生まれたように見えた重要な点があります。
それは立地条件です。
特に『関西淡路大震災』のような活断層が動いた都市直下型地震では、
箇所の直下とその隣ですら倒壊具合に大きな差が生まれるのです。
真下で断層がズレたことによって大きな縦揺れが起きました。
だから軽い建物の方が被害が少なく、重い建物の方が被害が大きかったと言えます。
住宅などの全体的には軽い建物でも、
在来工法のように屋根に重い瓦を多く使っている建物には不利で、
ハウスメーカーのように軽い屋根材を多く使ってる建物には有利でした。
だから阪神高速道路の橋桁よりハウスメーカーの建物が丈夫な訳ではないのです。
被害の大小は色々な条件が重なった結果と言えるでしょう。
前回の最後の方も海外によくある石造りの建物を例に挙げましたが、
建物と地震の関係で重要なのは立地条件なのです。
比較的耐震性の弱い建物でも建ってる場所さえ強固な地盤であれば、
仮に地震が起こったとしても被害が少なくて済むのです。
逆に言えば、どんなにお金や時間を使って地震に強い建物を建てても、
地盤が弱ければあっけなく潰れるものなのです。
この地震大国である日本の中で、
そんな地盤丈夫な立地条件なんて探しようがないと思われると思いますが、
一目で分かるようなヒントはあるものなのです。
お住まいの土地、もしくはお探しの土地の近所に古墳や古代の出土品がある地域は、
地盤が丈夫で古来から安定して人が住んでいた証と思って間違いないでしょう。
まだ中世や近代の風水や貿易の有利さに影響されず、純粋に自然災害の少なさで
住む場所を選んだと思われる時代です。
そういった場所であればこれから先も、
地盤が安定している可能性は高いと思われますがどうでしょうか?
次回は施工精度について考えてみたいと思います。