建設業からみるシックハウス症候群 その3

それでは「シックハウス症候群」を[[]]

防ぐもしくは予防する方法はあるのでしょうか?


前の記事を覚えていらっしゃる方はピンとくるかもしれません。

有害物質であるVOCは揮発性有機化合物なのです。
なので、より効率よく揮発させる事が「シックハウス症候群」を防ぐ方法になるのです。
そしてその手段として一番手っ取り早いのが「換気」なんです。
方法としては自然換気をオススメします。
どんなに容量の大きな換気扇を入れても、自然換気には敵わないからです。
自然換気の方法は皆さんご存知かも思いますが、

換気効率を上げるには、以下のようにするのが良いのです。
①窓は1つよりも2つ開けた方が良い
②同一壁面で2つの窓を開けるよりも、違う壁面の窓をそれぞれ開けた方が良い
③向かい合った壁面それぞれの窓を開けた方が良い

つまり「風の通り道」を作ることを考えていただければ良いでしょう。


昨今の建築物は気密性が高く、
施工工期も短く、施工方法もラッピング方式なので、
入居された後も常に換気を心がけたほうが良いでしょう。
また、床下や天井裏も開放できるのであればしたほうが良いと思います。


ではなぜこういった本当の事が伝わらず、皆さんが誤解されたままになっているのでしょうか?
ここからは私見も多く含みますのでそのつもりでお読みください。

過去の「シックハウス症候群」の報道で完全に悪者になったクロス(壁紙)の接着剤は、

大雑把に言うとでんぷん粉を水で溶いて練ったものでした。
ただ、水だけで練ると粘度が低くそれに長期間放っておくと腐ったりカビが発生したりするため、

その問題を解決するためにホルマリンを使用していました。

ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液のことなので、
揮発性有機化合物であるホルムアルデヒドを揮発します。


しかし実は昔、学校などで子供が使っていたでんぷん糊も同様にホルマリンが使用されており、

30代以上の方が子供の頃は、今でいう危険極まりない糊を長い間使っていたことになります。


報道で問題になった頃、接着剤メーカーはホルマリンを使用することを諦め、
酢酸ビニール樹脂系の接着剤で粘度を高め、
食品添加物に認定されている成分を防腐剤として使用しました。


といってもクロス(壁紙)の接着剤は施工時に揮発しやすく、

施工者以外は揮発性有機化合物を大量に触れることの機会はないものです。

にも関わらず、どうして接着剤メーカーがそこまで過敏にならざるをえないくらいに、

クロス(壁紙)の接着剤が追い込まれ吊るし上げられたのでしょうか?

以前の記事でも少し触れましたが、

どうして揮発性有機化合物の残留性が高く、
問題が多いはずの材木等の建材が問題視されなかったのでしょうか?


また当時の自主規制も遅々として進まずに遅れた上、
国土交通省は2種類の揮発性有機化合物の規制しか出さなかったのでしょうか?


国土交通省の管轄である建設業の中で一番の新参者がクロス(壁紙)業界です。
そしてマスコミのスポンサーには大手住宅メーカーも多いです。
さらにクロス(壁紙)というのは一般の人の一番目に付くところに存在します。
経済的な被害を最小限に食い止めようと思えば‥
もうわかりますよね?


日本は良くも悪くも土建国家です、
お国の産業に近い木や土やコンクリートに問題が起これば大問題になります。
余談ですが一時耐震構造に関してのことが大問題になったのも記憶に新しいでしょう。
当時、建築構造や設計だけが悪者になり法整備で一件落着させましたが、
本来建造物の耐震性能に起因するコンクリート性能が全然話題にならなかったのっておかしいと思いませんか?
明らかに時代や時期によってコンクリート性能が違っていて本当は問題だらけなのに・・・。


私には構造や設計に目線をそらしたようにしか思えないのです。



報道を鵜呑みにしてはいけません‥。

こういったことって他の業界や政治に関しても付き物です。
気をつけましょうね。


最後に、
古い住宅でクロス(壁紙)を貼替えるときは注意して欲しいのですが、
新築当時下地に残留し乾燥した揮発性化合物が、
クロス(壁紙)の接着剤の水分によって溶け出してくることもあるのです。
シックハウス症候群」にかかっている人は気をつけてください。
先に業者に進言しておきましょう。