建設業からみるシックハウス症候群 その1

シックハウス症候群」の原因はクロス(壁紙)及び接着剤ではなく、[[]]
建材や家具等の木材の防腐剤や防虫剤が主原因だと、皆さんはご存知でしたか?

じつはその原因は、住宅の工期が短くなってきたことや
住宅そのものの高気密化や、
新建材やクロス(壁紙)等による揮発効率の悪さによるものなのです。


30年以上前の住宅では、
使用する木材には強烈で有害な防腐防虫材が大量に使われていました。
建材も合板等の加工材ではなく木材そのものをより多く使用し、
使用する木材は自然乾燥させてから出荷されていました。
それ以外にも、職人事情や時代背景や価格事情もあって、
建築工期は今とは比べ物にならないくらい長くかかっていました。
比較的工期の短い新興住宅でも1年近くはかかっていましたし、
田舎建ちの日本家屋なら3年以上はかけていたでしょう。
さらに構造も現在と比べると気密性はかなり悪いものでした。
表面仕上げは、プリント合板や左官仕上げやタイルや塗装仕上げが一般的でした。
つまり、建築物そのものが防腐防虫材に使われている有害物質を、
揮発させやすい状況や環境にあったのです。

しかし、ここ20年くらいで、
住宅事情は大きく変わっていきました。
木材系の建材等は合板や圧縮材が主流になり、
プレカットの骨組みや外壁のパネル建材の使用が多くなって工期が短縮、
構造はシステム化されどんどん高気密化していき、
建材も塩ビ系ラッピング材化が進み、
仕上げ材も塩ビ系のクロス(壁紙)やクッションフロアが主流になっていきました。
建築物そのものが有害物質を揮発させにくいものとなり、
そのころから「シックハウス症候群」という問題が出てきたと思われます。


簡単に言うと
○有害物質使用量は、
     今<昔
○揮発を妨ぐ気密性の高さや工期の短さは、
     今>>昔
だったので昔よりここ最近で大きな問題になっているのです。

ちょうど「シックハウス症候群」が、大きな社会問題として取り上げられた頃は、

報道もかなり偏向していて、ほとんど有害物質を含んでないクロス(壁紙)や、
有害物質を含んではいるが施工中にそのほとんどが揮発してしまうクロス(壁紙)の接着剤が、

全ての原因のように煽り立てました。
邪推するとその頃、

木建材を悪の根源にしてしまうには何かと不都合があったのかも知れません。

そしてその報道直後、クロス(壁紙)の安全レベルは、

子供用の塩ビ製のおもちゃ並み(口に含む事もありえるもの)の基準に自主規制し、
クロス(壁紙)の接着剤も食品防腐剤を使う等の自主規制対応し、
有害物質のメインとされるホルムアルデヒドに関しては「0」にしました。
しかし、他の建材はなかなか代替品が見つからず(高くて使わなかった?)
なかなか自主規制が進みませんでした。


その後、

2003年7月1日より着工後の建物に対して有害物質の使用量を規制した、
俗に言う「シックハウス対策法」を盛り込んで建築基準法が改正されました。
建材に有害物質使用制限を☆の数で表した基準を設け、
一般的にF☆☆☆☆(フォースター)材を使用する事と定めました。
そこでようやく「シックハウス症候群」対策が一件落着したかに思われました。
しかしそれがまだまだ解決しなかったのです。

次回
に続きます。