流通について

古くからある商慣習では、生産者が直接一般消費者に向けて販売する[[]]
ということは通常行われず、中間業者(問屋や商社)に出荷され、
次にそれらが小売店に出荷されて一般消費者の手に届くようになっています。
商品や業界によっては、小売店に並ぶ前に複数の業者を経由することもよくあります。

元々この方法のメリットは、生産者が直接的に販売の作業に従事しなくて良く、
生産計画に応じた量を製造して、できた製品をまとめて中間業者に引き渡しさえすれば、
基本的にはその代金が回収されるということでした。
中間業社(問屋や商社)は、生産者の苦手な商品の普及や流通を専門に引き受けることで、
社会全体の効率化という役割を果たしてきました。

しかし一般消費者や小売店の側から見ると、中間業者を経る際に上乗せされる
中間マージン
が販売価格にのしかかるという都合の悪い面があります。

近年になって、インターネットの普及により(特に物販に関しては)、
生産者が直接小売を行うことが容易になったため、
一般消費者は中間マージン無しに安く商品を買うことができるようになりました。
流通の革命と言っても良い時代です。

こうした中、中間業者の中には、依然として無駄な中間マージンを搾取している業者もあります。
但し商品によっては、中間業社が必要な商品もありますし、
業者の中には、中間業者としての存在価値を見出す努力や働きをしているところもあります。

必ずしも生産者直購入が良いとも言い切れません。
間に加工や施工という技術的な要素が入らないと商品として成り立たないものがあるのです。

建築業界には、前者の「ムダな中間マージン」と後者の「必要な中間マージン」が
混在しています。
新築は後者の割合が多く、改修(リフォーム)は前者の割合が多いと言えます。

新築工事というものは、建設業法や消防法や耐震設計等々さまざまな法規や検査を
クリアしなければ商品として成立しません。
そして、工業製品のように工場内で全て仕上げるわけにもいきません。
更に、毎回同じパターンであることがなく全てオーダーメイドの手作りなのです。

改修(リフォーム)工事というのは、前の記事にも書きましたが、新築工事の派生です。
つまり小さな改修(リフォーム)工事には面倒な法規や検査はほとんどありません。
にも拘らず、ほぼ新築と同じ数の中間業者を経て消費者に渡っています。
つまりその多くが「ムダな中間マージン」となっているのです。

建築技術を持たない多くの大手リフォーム会社は、
ムダといっても過言でない中間マージンを取ったり取られたりしています。
技術のある下請に工事を任せないと商品として成り立たないからです。
だから大手リフォーム会社は多くの広告費や営業費を浪費し、
技術の蓄積無しに仕事を増やす事が仕事となってしまうのです。
だから
「ネームバリューがあり信用できるっぽい業者」
というのは
「ネームバリューを上げる事による高コスト業者」
であることが多いのです。

建築技術のある地元の小さなリフォーム会社は、
ネームバリューが無い分、仕事量が安定しません。
少人数で仕事をこなすので、
身内や顔見知りの紹介ぐらいでしか会う機会がないです。
もしくは大手リフォーム会社やホームセンターのリフォームコーナーの下請として、
多額の中間マージンを搾取され仕事をしているかです。

だから
「ネームバリューがあり信用できるっぽい業者」
というのは
「技術力を下請頼りにする事による高コスト業者」
であるという可能性もあるのです。

以上が皆様の気づかない‥
いや、気づいていても防ぎようの無い大きな落とし穴なのです。
この落とし穴に落ちないようにするにはどうすればいいのか?

それには皆様にリフォームの知識を身につけてもらう以外ないのです。
知識といっても細かい技術的なことでなく業界の仕組みと落とし穴を回避する方法です。
今までの話で業界の大まかな仕組みは理解していただけたと思います。

次回
は、どう考えどう行動したら落とし穴を回避できるか?
を話したいと思います。